2010年12月12日 (日)

小倉沢の秩父鉱山へ

『ここがここだいな。まず、この中津川沿いの道を一里ほど行くってえとな、右側に切り立った岩山を刳り貫いた短けえトンネルがある。それを潜って支流の小倉沢へ入る。その道を行きゃあ鉱山だ』
中双里の旅籠の女将は長治を捜しに行く松子に地図を指し示して説明した。
笠原将弘著の秩父の職漁師の生涯を描いた小説「岸谷鱗平商店」の一節である。

本を読み返していて、無性に小倉沢の秩父鉱山に行ってみたくなった。
“八丁沢で炭を焼く長治を慕って歩いた松子を辿ってみようか・・・”

赤岩橋の先の広場に一台の白い車が停まっている。
端で独りの青年が支度をしていた、重装備だ。
『何処へ行くんですか』訊ねると
『対岸のあの沢を登って、両神山に上がります』と指差して云う。
世の中、とてつもない冒険者が居るものだ。
『それでは、お気をつけて・・・』
精悍な好青年だった。

松子が長治と再会を果たした八丁沢まで行き、戻ってきた。
白い車はまだ停まっていた。
“今頃は、ハーケンを打ちザイルを出しながら登っているのだろうか”
対岸の小谿は、それ程に急角度で急峻に突き上がっている。


林道の奥は道が凍って恐い。
小橋の上はスケートリンクのようだった。

“奥秩父行は、春までお預けだな…”

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2010年11月20日 (土)

晩秋の浦山の冠岩

小春日和とか・・・、だが晩秋の陽は弱々しく寒い。
浦山の冠岩を訪れた。

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冠岩の付名は、
冠岩沢の中流左岸に屹立する岩壁。

頂上には、太い松の木が立っている。
見上げ眺めているばかりでなく
何時の日かに、尾根を回り込んで登り
あの松の根方で番茶で寿司を喰ってみたいものだ。
とても暖かくて、とても良い場所に思える。

そして、七ッ滝の悪場を杣道で巻いて、25㍍大滝を拝んだ。

降って冠岩廃集落を巡った。
屋根の無くなってしまった板碑を見、
家屋跡を一軒一軒回ってみた。
上林さん(オッちゃん)の別宅は健在だ。

一番の上に在る神社を詣でた。
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なんと・・・
祀られてある祠が全て倒れてしまっている。
小さなお地蔵様は散々に転び散らばっている。

何とか起そうとしたが、なんと重い。
非力な腕力で奮闘するとヒョロけて
反対側に倒してしまった、少し壊してもしまった。
これでは、ヒョットして祟りがあるのではあるまいか。

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いよいよ奮闘して、何とか起し立てた。
転がっているお地蔵様を立て並べた。

今度に来る時には、釘と金槌を持って来よう。

でも・・・ 秋ももう終わりで寒い冬が来る。
今年は、もう来れないかもしれない。


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2010年11月 2日 (火)

秋の大洞林道2010

 十一月に入ると、毎年に大洞林道を歩く。
山谷が錦織の秋になると必ず出かけるのです。
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或る年は、惣小屋沢の二葉瀑を観に歩き
或る年は、松葉沢に産卵場を造りに歩き
或る年は、バラクチ山ノ神を訪ねるに歩き
或る年は、大洞山ノ神を詣でるに歩き
今年は、何もせずゆっくりと終点までを歩きました。

不思議ですね 年の終りが近づく秋には
“行かねばならない、歩かねばならない処・・・”
そんな感情に囚われるのです。
                                      望む大洞谷と惣小屋沢の出合い                                
                                   誰も居ません  誰にも遇いません
                                     だからこそ 森羅万象
                                   独り占めが できるような気が致します。
                    『おぉ~い…』 叫んでも 聞こえてくるのは 風の音と渓声だけです。


 

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