2009年6月10日 (水)

横岩沢へ大滝を観に行く

これまでに何度か
“岩魚は棲むのだろうか…”
“どんな 岩魚が棲んでいるのだろうか…”
入ってみたことがあった。
Blog21610yokoiwa4
遡るにつれて
何度も水流は大石大岩の転がり積み重なる
その下に伏流してしまう
“これでは 岩魚は棲みづらかろうな”
と其れ以上は遡るのを止めてしまったのだった。

何時ものように
何となしに地図を広げていると
少し上流に岩記号に囲まれた滝記号がある
“此処まで まだ遡ってみたことが無い…”
ネットで調べると
お世話になっている方々の報告が載っている。
Blog21610yokoiwa7

“これは 見て観なければなるまい…”
出かけてみることにした
下流の堰堤を越えてから釣り遡行をしてみた
やはり魚信は無い
棲んで居るのか居ないのか
振った毛鉤が気に入らないのかもしれない。

直ぐに伏流する
そして何食わぬ顔で水流は復活する
そしてまた 流れは大岩の下に潜ってしまう
竿を納めて急斜のゴーロをひたすら辿ることにした

Blog21610yokoiwa9
大岩大石の転がる中を暫し
ゆうに五十㍍は越えるであろう岩壁が立ち塞がった
見回せばぐるりと衝立を引き回したように岩壁だ
そして行く手の正面に三十㍍ほどの落差の瀑があった
見上げれば
岩壁を裂いて水が迸りでている様にさえ見える
“成る程 此処があの滝記号か…”

暫くは此の美瀑に見入った。

滝下に獣の足跡に混じって僅かな人の足跡があった
これは 滝の写真を撮りに来た
「滝の鳶八さん」のものであろうか
これは 洞窟を探しに来た
「PCCの芦田さん達」のものであろうか。

砂礫が少しへこんだだけの
古い窪みに我が足を踏み合わせてみたりした。

| | コメント (11)

2009年6月 2日 (火)

廃屋の途切れた次の家

何故か 私は女と褥を共にしていた
女は まだ若く 美しいというより丸顔の可愛い顔立ちであった
見回すと 四方が襖で仕切られた見覚えのある我が家の一室であった。

襖が開いて 妻が顔を出し『今日は 潮干狩りにいきませんか』と云う
『行かない』と云うと 
『そうですか』と妻は答えて 襖を静かに閉めて引っ込んだ。

白い歯を覗かせて微笑んでいる女を引き寄せて口付けをすると
女は 恥ずかし気に それでも応えた。

真っ白な下着に手をかけると 女の草叢が 柔らかくサワサワと手に触れた
女の白く開いた身体は 内も外も 柔らかく温かく心地よかった。


目が覚めた・・・
女に逢いたいと 眠りにつくと・・・


女は 私の身体の下にいた
女の白い身体は 柔らかく温かかった
気がつくと 女の顔一面に赤い吹き出ものが出来ていた
“如何したんだろう さっきは無かったのに…”
私は あまり気にしなかった
女も気にしていなかった 気が付いていないのかもしれなかった
それよりも 女が愛しかった。


目が覚めた・・・
女に逢いたいと 眠りにつくと・・・


私は 廃屋が一列に連なる前の道に立っていた
廃屋の一番下はずれの一軒の家の前に立っていたのだった
その家は 扉も襖も家具もなく 屋根と柱の骨組だけの煤けた家だった
風が吹いてくると ヒューヒューと家は鳴った
“そうだった 此処の先に私の家は在るのだった”
この一本の道に沿って一列に家が建ち並んでいて
その中ほどに私の家は在るのだった。

私は 少し登り勾配になった一本の道を歩いていった
次の家も その次の家も その次の次の家も 屋根と柱だけの家だった
どの家も 風が吹いてくると ヒューヒューと鳴った。

なん軒目かの家は 玄関口と周りにブルーシートが張り廻らされていた
『ごめんください 何方かいらつしゃいますか』声をかけると
『なんだい』 もう半月も風呂に入ったことのないような男が出てきた
『こちらのお宅の方ですか』問うと
『違うよ 俺は だあれもいないから勝手に棲みついてんだよ』云う
『こちらのお宅の方はどうされたんでしょう』聞けば
『知らないね だあれもいないよ 隣もね その隣もね その隣の隣もね』
男は めんどくさそうに ブルーシートの中に引っ込んでしまった。

しかたなく私は 屋根と柱だけの廃屋の連なる道を上がっていった。

すると ある場所で廃屋は途絶えていた
そこから先は 真新しい家が道に沿って一列に建ち並んでいた
家の庭先には 名の知らない花も咲いていて 子供達の遊び騒ぐ嬌声も聞こえてきた。

続く廃屋の途切れた次の家
その家が なんと私の家だった。

『ただいま』
ひっそりとしていた 
そうだ 皆んな潮干狩りに行ってしまったのだった。

『ただいまぁ』

『お帰りなさい』

白い身体の内も外も柔らかく温かい あの女の声がした。

| | コメント (14)

2009年5月27日 (水)

鉄砲沢の瀑場、四場

鉄砲沢は桶木沢とも呼ばれる。
如何して「鉄砲」と呼ばれ、「桶木」と呼ばれる所以かは知らない。
何やら騒がし気な大血川水系の中では好きな谿である。

鉄砲沢には大滝は無いが中流の峡間のゴルジュを抜けて源流まで詰めると中滝は十を越えて数え、小滝は数知れずに在る。
なによりも苔生した大岩大石が美しい。
そんな中に岩魚は棲むのだけれども、最近は釣師も度々入るようでその数を減らしてしまった。
“釣りたいなら本谿を釣ればよいのに・・・”

背負ったテンカラ竿は伸べることなく、久しぶりに瀑場巡りと遡ってみた。

Blogh21527tepoo3

下流域の五㍍連滝の場

下流域は右岸が岩壁で大岩大石を転がした素敵な谿相だ。
そんな中に此処の滝場は在る。

Blogh21527tepoo6中流域の枝谿の十五㍍滝の場

本谿は六㍍六㍍の二段滝で立ち塞がる。
そんな処に水量の少ない枝谿が左岸から出合っている。
枝谿を少し登ると此処が在る。
スダレ状の滝と云う表現がピッタリだ。

Blogh21527tepoo8_2
中流域のゴルジュ最後の五㍍二条滝の場

両岸の岩壁が一間程も無く狭まった峡間のゴルジュ。
沢屋さんなら兎も角、胸まで浸かる淵を渡渉して岩を突っ張り遡る術は無い。
恐ろしくも、ガレを登り狭い岩棚を蟹のように横歩く。
巻いて降りればゴルジュの中、イザリ進めば出口に塞がるのが此の滝、又も岩壁を捩って巻き上がる。

Blogh21527tepoo13
上流域の三㍍滝の場

幾つもの瀑場を見送って辿り着くのが5:1の水量比の二俣。
水量の勝れる本谿には大岩で蓋をされたように見える複雑な此の滝が架かっている。


此処、鉄砲沢にはもっと落差のある滝、大きな深い釜を持った滝、など沢山にある。
が、私にとって魅力ある滝の定義は、“滝の上は、とっても良い処があるようだ・・・”らしい。
見上げる滝上は、明るく木々が立ち並んでいる。


| | コメント (6)

2009年5月16日 (土)

また来る、蛇岩ゾリの瀑

ふと…想い廻らすと“行ってみたい・・・”思う処がある。
Bloghebiiwazori2_2

其処は、豆焼の大滝でもなく
和名倉の大滝でもなく直蔵淵とはまた違って
「蛇岩ゾリの瀑」であった。

何故なんだろう・・・
その訳は、よく判らないが
何年に一度かは
無性に、その場に行ってみたくなる。

行ってみたくて、覗いてみたくて出かけてみた。
もう半月も前のこと
Bloghebiiwazori_4

林道を上がって
谿を遡った。
何時も伏流してしまっている処はやはり伏流していた。
やがて、水流が復活して二俣、
その先に「蛇岩ゾリの瀑」は在った。
林道で誰にも逢わず
無論、谿で誰にも逢わなかった。

まだ奥山は早春で谿に春は来ていなかった。
冬枯れて岩肌が露出した中に滔々と水は絶え間なく流れ落ちていた。
                                             これは数年前の夏の画像

其の場所に来たことで満足した。
“これは奥秩父への郷愁と云うものかな・・・”。

| | コメント (10)

2009年5月 5日 (火)

人・人・人の奥武蔵の沢

世はゴールデンウイークの真只中だ。
奥秩父へは車の渋滞が思われるのでスーパーカブにを走らせて奥武蔵の沢へ向かった。
名栗川の本流は何処まで行っても人・人・人だ。
少しの河原が在れば必ずテントが張ってあった。
朝からバーベキューを始めている組も見られた。
“此処は如何か、此処は如何か・・・”と思い予定していた沢の入り口には必ず車が停まっていた。
名郷から山中入りに入ると、キャンプ場も在ってか凄い人だ。
河原にはテントが軒を連ねて人がひしめき合っていた。
林道は何処へ向かうともなさそうなそぞろ歩きの人で走るに難儀した。
止む無く上へ上へと上がった。
何処までもテントが在った、砂防堰堤があると其の上の砂礫の溜まった処には必ずテントが在った。
林道には百㍍おきに必ず車が停まっていた。
沢筋を覗くと二人三人と竿を出している。
押し上げられてナギノ入りに入った。
相変わらずに車寄せには釣り人の車が停められていた。
遂には林道の終点のウノタワの登り口に着いてしまった。
広場にも五台の車が停まっていた。
“此の車の持ち主は、きっとウノタワから大持・小持山へ登っているんだろう”
勝手に推測して沢に降りると二人の釣り人が居た。
Blog2154nagino1

『釣れますか?』聞くと
『釣れないね』とつれない返事。
水が少なくて魚は居ないからもう下に降りるのだ…との事。
『仕事かい、休みなのにご苦労さんだねえ』と云う。
乗ったカブと地下足袋に汚れた作業着の格好から推測したらしい。
Blog2154nagino2

ウノタワへの登山道が離れた処から竿を出してみた。
水量は少ない。
それでも落ち込みの溜まりに毛鉤を落とすと五寸程の岩魚が追った。
後にも先にも、その一匹だけが挨拶に出ただけだった。


Blog2154nagino3

やがて頂頭に木々を生やした大岩の在る処に着いた。
過ぎるともう水は無かった。
水は復活するか…、と遡ってみたが流れは再び現れることはなかった。


何処に入ろうか入るまいか迷い探して三時間、やっとに着いて竿を出すこと三十分。
其処は名栗川の最源流の横倉山の下、すでに水の枯れる処であった。


| | コメント (8)

2009年5月 3日 (日)

松葉沢の百軒小屋

大洞林道の荒沢橋広場に着くと既に車が二台停まっていた。
その一台にはフライを振る方が居て少しの間、談笑した。

今日は、松葉沢の百軒小屋跡を訪ねるつもりであった。
十年以上の前、盛んに惣小屋沢の堰堤が構築されている頃であった。
其の日、まだ入谿していなかった松葉沢を辿ろうと谿に入ると植林の準備をしている人が居た。
『此の谿は魚が棲んでいるでしょうかね?』聞くと
『俺は釣りをしねえから判らねえ、上の方に百軒小屋があるなぁ知ってるけど・・・』
釣り遡ってみると最終堰堤までは山女魚が居た。
堰堤上では何の魚信もなかった。
そして、ガレて水が細くなったので帰ってきてしまった。

『百軒小屋・・・』今になって忘れていた記憶の細胞がはじけたかのように思い出された。

Blog2152oohorarindo


新芽の吹く大洞林道を、ゆっくりと歩いた。
大洞川から吹き上がる谿風は心地よかった。

Blog2152matsuba1


堰堤が五基もあって右岸を左岸をと登らねばならなかった。
それでも堰堤と堰堤の間に毛鉤を振ると、山女魚が飛んで出た。

Blog2152matsuba2


「平成元年」と銘盤の埋め込まれた堰堤を過ぎると、もう無かった。
堰堤上はガレが堆積した荒れた谿相である。

Blog2152matsuba3

暫く遡ると、谿は岩床になって五㍍滝。
とても良い落ち込みの溜まりもあって、毛鉤を落とすのだが何の音沙汰もない。
“棲んでいないのかな、それとも下手なのか・・・”

Blog2152matsuba4

更に遡れば二俣に至った。
見上げると二俣の間に階段状に石積みが幾つも在る。
“此処のことなんだな、百軒小屋跡は・・・”

Blog2152matsuba5

その数は百軒はなかろうが、ゆうに三十程もの小屋跡平地がある。
その一つ一つには、あの青い壜が幾つも転がっているのであった。
和名倉山の木々伐採期の南面の基地だったのだろうか。
暫くの時間、一つ一つの小屋跡平地を歩いて回った。


木々を透かし見ると鈍重なバラクチ尾根が目の高さで、続く其の向こうの三つ山が真近に望めた。


| | コメント (4)

2009年4月30日 (木)

久しぶりの大除沢

此処、大除沢を遡るのは五年ぶりだ。

竿を振り振り急ぎ遡って三時間程、「置きワラジ」の場に着いた。
“あれっ!枝沢が無い…”
其処は、砂礫で埋まって山を成していた。
“伏流していても水は出ている筈…”と何処を探しても水の流れは無かった。
“此処に岩魚は棲んでいようか…”と遡って熊を見かけて退散した、あのガレ沢は無いのだった。

Blog214kunogi
更に二時間も遡って仰天した。
通ラズの「くノ字 15m滝」は様変わりしていた。
滝の右岸が崩落していたのだった。
五年前には、滝は立派に「くノ字」を描いて流れ落ちていた。
十年前には此の通ラズの右岸を捩り登って、
肝を冷やしながら木々に摑まり摑まって抜けたのだったけれども…、
滝の右岸は落ちた大岩で埋まり、残った岩壁が高くそそり立っていた。

途中、二人の若い釣り人に出逢った。
『こんなに釣れました』と嬉しそうに魚篭を見せてくれた。
若者の嬉しそうな顔と入っている〆られた五・六寸の赤い斑点の岩魚達…、
『気をつけて降りてください・・・』云ったが、侘しかった。

(昨年に遡った装備屋メイさんのHP「釣歩記・谿歩記」から谿の変わりようを知り、遡ってみました)

| | コメント (10)

2009年4月24日 (金)

再び奥武蔵の谿へ

木々の芽吹きの心地よさに惹かれて再び奥武蔵の谿を訪ねた。
奥武蔵地方では名に「谷」や「沢」を付けずに「入り」とか「ヤツ」を付ける。
訪れたのは、名栗川の支流の支流の支流である。
秀でた美谿でもなく顕著な処もない平凡な谿、そっとしておきたいので谿名は記さないことにします。
Blogkakeya1

谿沿いの林道は林業従事者しか入らないようだ。
誰もいなく誰も来ない途を淡いピンクの山桜を愛でながら歩く。


Blogkakeya6

壊れたガードレールの下に何か在るな…と思ってよく見ると、
蛇の尻尾であって飛び退いた。
蛇は苦手だ。


Blogkakeya5_2

蛇に驚いて谿へ降りると
水量の少ない、何時もの奥武蔵の谿だった。


Blogkakeya2_2落ち込みに毛鉤を落とすと魚が飛んで出た。
合わせるとスカであった。
空毛鉤は、勢いよく飛んで上の木枝に絡まってしまった。
“ばかに素早いなこれは山女魚であろうなァ”少し気落ちもした。
鈍重な岩魚に慣れた私には早い山女魚の出になかなか合わない。
何度か目にやっと咥えあがった、やはり七寸程の山女魚であった。

Blogkakeya7

五月蝿い山女魚の出を嫌って竿を納めて遡ると
滑メの発達した処になった。
沿っていた林道は終点になったようだ。
滑らぬように遡った。


21424kakeya9何やら落ち込みの溜まりは、静まっていてシンとしている。
“岩魚の領域に入ったのだナ”と知れた。
よく見ると黒い小魚が不審な闖入者に慌てて右往左往している。
“岩魚の今年子だ…”それにしても沢山に居る。
あまり脅さぬように遡って落ち込みに毛鉤を落とすと
七・八寸程の岩魚が喰いついて引き込んだ。
“親かな…腹が減っても吾が子を喰ってしまわぬようになァ”言い聞かせて流れに放った。


満足だった。
殆ど人の入らない小谿の奥に岩魚は棲んでいた。
持って来た寿司は美味かった。

私は山女魚が嫌いというわけではありません、美しい魚と思います。
しかし、より奥の厳しい環境の中に棲み続ける爬虫類的な岩魚を愛いと思うのです。


| | コメント (4)

2009年4月19日 (日)

春の奥武蔵の谿

あまりにお天気も好く、毛鉤での谿逍遥もそろそろかやと竿を携えて出かけた。
向かった先は、名栗川水系の蕨入りである。
奥秩父へと思ったのだが今日は日曜日、さぞかし人の出も多かろう。
それを避けて尚奥域へ向かうには少々自信が無かった。
足腰は谿慣れしていないし、それに半月程の前に左足首を挫いてまだそれが痛むからであった。
Blog21419warabi1_2

鬱陶しい高い堰堤を三つ林道でやり過ごした。
三つ目の堰堤上の送電塔への巡視路を踏んで谿に降りる。
巡視路は木橋で対岸へ移り登り離れてゆく。
谿は水の流れが少なく、まとまった一雨が欲しいところだ。

Blog21419warabi2_2

木造りの山ノ神が祀られていた。
“足の捻挫が痛みませんように・・・”五円玉を奉じてお願いした。
流れの傍らにクルクルと芽を伸ばしたコゴミを摘みながら遡った。

Blog21419warabi4

暫く行くと、右岸に沿っていた林道は終点で広場になっていた。
蕨山への登山道は此処から細い踏み跡で行くらしい。
その先には、見上げる程の高い堰堤が立ちはだかっていた。


Blog21419warabi5

植林植栽の仕事道であろう僅かな踏み跡で堰堤の上に出る。
其処は大石を転がして落ち込みを連ねた明るい春の谿であった。
勇んで馬素に毛鉤を結んで落ち込みの石際へ落としてみる。
ス~ッと五寸にも満たない岩魚が毛鉤をつつく。


Blog21419warabi7
どの溜まりでも小岩魚は飛んで出ては毛鉤を飲み込もうと追いかけた。
だが、八号バリに巻いた毛鉤は大きくて喰いつけないらしい。
やっと一匹の口の中に吸い込まれたようで毛鉤は引き込まれた。
上げてみると六寸ほどの奥武蔵タイプの岩魚だった。


岩魚を水槽に入れて記念写真を一枚。
写し終わって“春だ、虫をたらふく喰って元気に暮らせ・・・”と流れに放つと、
『小さいけれど綺麗な岩魚でしたね…』後ろで突然声がした。
振り返ると同年輩の釣り人がニコニコして立っていた。
『ずっと、いらっしゃいましたか』
『エエ…お昼を食べていたら貴方が上がってきたものですから…。魚、放しちゃうんですね』
『写真を撮ればもういいんです』
『そうですか、私も皆んな放します』
其の方もテンカラで暫くは、『フムフム 成る程…』と毛鉤を見せ合いながらテンカラ談義に花が咲いた。
もう奥まで遡っての帰りとかで、『お先に騒がせちゃいましたね』と詫びて
『あと、二時間はゆっくり遊べますよ、お気おつけて…』別の沢に行ってみよう…と降りていった。


Blog21419warabi10それから二時間は遡ったろうか。
水量は随分と心細くなってしまったけれど
小さな岩魚達は、腹を空かしてか懸命に毛鉤を追う。
でも、小さい口に大柄な毛鉤は喰い込まれることはなかった。
騙すのも気の毒になって、ここらで止めることにした。


奥武蔵の谿は、すっかり明るい春の芽生えの季節になっていた。
“やっぱり、奥秩父はもう少し先かな・・・”左の足首はまだ痛むのだった。

| | コメント (12)

2009年3月21日 (土)

今シーズン用の毛バリを巻く

今シーズン用の毛バリを巻いた。

今期はイッチョウ変わった毛バリでも泳がせて大岩魚でもからかおうか・・・思ったのだが。

Blog21kebari

鉤 ~がまかつのテンカラ管付き8号
胴巻~孔雀の飾り尾羽
蓑毛~雉の風切剣羽
背負~鹿毛
目印~餌釣り用の目印

なぁん~と 出来上がってみれば、全くといっていい程におんなじ赤頭金尻の天女じゃないか。
違うと云えば、せいぜいが蓑毛がチャボの首毛でなかったことと背に鹿毛を負わせただけだ。
なんとも発想が貧困なのと保守的なのであるらしい。
“今さらに、変えられないのかな・・・”

一本で五回行は出来るとして、あと二本も巻けば今シーズンは充分、
さぁ もう少し暖かくなるのを待つばかりだ。 

| | コメント (12)

«春はまだ来ぬかやと 今だ夢の中